1992年7月25日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第15回『一流と紹介されても 伴奏ピアニストに苦労』 小林武史 大使館や総領事館の推薦で、その都市で一流といわれるピアニストを紹介してもらったことが何度かあった。どこの国とはいわないけれど、発展途上国に多い現象である。自費で行く場合もあるし、国際交流基金から派遣してもらうこともある。 […]
1992年7月18日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第14回『バイオリンという楽器の難しさ 指のオートマチック運動』 小林武史 ダビッド・オイストラフが初めて日本に来たのは、もう何十年の前のことだが、近衛秀麿先生の指揮で、モーツァルトのバイオリン協奏曲を、オーケストラで一緒に弾かせていただいたことがあった。オイストラフは、大分緊張していて、という […]
1992年7月11日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第13回『走った、飲んだ、たばこ吸った ボリビアで高山病になる』小林武史 ボリビアでインディオといったら、その言葉は差別用語だから使ってはいけない、といわれた。カンペシーノというのだそうで、田舎の人という意味だといわれた。ラパスという町の意味は平和ということで、コチャバンバという町は、沼のある […]
1992年7月2日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第12回『困った時はお互いさま 人の情けの話・そのニ』 小林武史 列車からすぐ降りろ、といわれても、どうしてよいか分からず、黙っていると、今度は怒鳴られた。隣の箱からステラが何事が起こったのかと、のぞきに来た。どうしてもビザはくれないという。ただ降りろと怒鳴られる。しかも自動小銃を持っ […]
1992年6月25日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第11回『亡命した美人と一緒に 人の情けの話・その一』 小林武史 1ヶ月も2ヶ月も、独りで旅をして、その時は座り込んでしまいたくなるような、また足がすくんでしまうような出来事があって、今考えると、2度と経験できない貴重なものに思えることがある。先日ハンガリーの話をしていて、僕もハンガリ […]
1992年6月13日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第10回『男子生徒少ない韓国の芸術高校 音楽では食べていけない』 小林武史 韓国での演奏会は、今度で3回目になる。前回はオリンピックの前だったので、大きな建物の谷間を車で走って目を見張る。オリンピックが行われるとこんなに違うものなのか、そういえば日本もそうだった。ヨーロッパから帰って来たら高速 […]
1992年5月28日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第9回『狂いやすい楽器を使って個性豊かな昔の名人たち』 小林武史 E、A、D、G、とは、ヴァイオリンに張ってある四本の線の音名である。ドレミファでいうと、細い方から、ミ、ラ、レ、ソ、となる。百人近い編成のオーケストラになったのは、ワグナーのころから響きの雄大さが要求されるようになって […]
1992年5月9日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第8回『みんないいやつばかりいて 人生もブラボーとブーイングが』小林武史 ブラボー、ブラボーの連呼に体がしびれてしまった。1955年、東京交響楽団のコンサートマスターとして入団し、初めてのコンサート。私は24歳、曲はショスタコーヴィッチ作曲第五交響曲であった。当時オーケストラは大体三つあった。 […]
1992年4月30日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第7回『たっぷりお説教を食らう チェコ滞在中 同席した美女が通告』小林武史 コツコツ、コツコツと響く靴の音。エコーが影を生んで、その影も薄暗い明かりに消されがちで、古い中世の住居の谷間に独りだけの姿が霧のように去っていく。キザな書き方だが、30年前にヨーロッパに行った人、特に共産圏に行かれた人は […]
1992年4月11日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第6回『音楽も国威向上のためか エリート教育の中国、北朝鮮』小林武史 中国のことを中共といって、国交前にはいろいろと憶測で判断していた時期があった。クラシック音楽は禁止されていて、モーツァルトを弾いたピアニストが、指を切断された、という話(うわさ)を聞いたことがあった。日中国交回復十周年記 […]