1992年11月21日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第24回『生涯忘れられない武漢市 人情厚く、高い演奏レベル』 小林武史 私が初めて中国に演奏旅行に行ったのが、ちょうど10年前で、北京など大きな町にも車は少なく、国民服を着た人も大勢いた。音楽会の聴衆の態度も、余り静かなものではなかった。しかし、今回の演奏旅行ではヨーロッパ並みの聴衆だったし […]
1992年11月7日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第23回『ストレスで血圧が上がる 4回目の中国正式訪問』 小林武史 中国への正式訪問は4回目である。あえて正式と書いたのは、北京には北朝鮮の平壌に行くときに、一泊か二泊するので、中国には何回も行ったような気がしていた。北朝鮮とは国交がないので、北京でビザをもらうために立ち寄るたびに、北京 […]
1992年10月24日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第22回『代償を求めない友情 ブラジルのアミーゴ』 小林武史 ブラジルの北の方にセアラ州があり、そこのクラトという町に教えに行った。小さな町なのだが、有名なお祭りがあり、飛行機は満員であった。ホテルも満員なので、土地の有力者の家に泊まることになった。ブラジルは貧富の差が激しく、その […]
1992年10月23日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 余談として:随筆『鏡の中に映る自分』の余話として 小林武史 ひびき 『音楽交流へ種まき』 「留学生活を終えても母国に帰らない若者が多い。中国ではどう見ていますか」「一流を目指し、世界各地で活躍してくれたら、いいのです」横浜市緑区の国際的なバイオリニスト、小林武史さん(61)は中 […]
1992年10月10日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第21回『練習不足の不安が表れる 演奏会前に見る悪夢』 小林武史 野原を走っている。空は曇ってきて、雨が降ってくる。今度は沼の中をこぐように歩いている。汚いレストランというか、食堂というのか、人がまばらに座っていたり、立っていたりしている中を通って、うす暗い部屋に入る。ない、ない、いく […]
1992年9月26日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第20回『作曲家の直接の解釈継承 書き違いだった楽譜の指定』 小林武史 歴史という言葉は不思議である。何年前からのことを歴史というのだろうか。クルト・ベスという指揮者がいた。昔、N響の常任指揮者をしていた時期があり、私がオーストリアのリンツ市ブルックナー交響楽団のコンサートマスターをしていた […]
1992年9月12日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第19回『大きな体のいたずらっ子 ベルクマンとの出会い』 小林武史 トーマス・ベルクマンとの出会いは、1989年の6月であった。彼はゲラルド・ホフヌンクの未亡人、アネッタと一緒に生活していて、ホフヌンクの著作権を持っており、世界中演奏旅行をして歩いていた。ホフヌンクは、音楽家の漫画を描い […]
1992年9月10日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第18回『生活困難でも音楽を 見せつけられた文化の違い』 小林武史 1989年に、やっと念願だったプラハの春音楽祭に出演できた。社会主義国として最後の年になった。それでも以前の暗いイメージからは少しずつ脱皮していたようには思うのだが、1990年にまたプラハに行ったとき、あまりの変わりよう […]
1992年8月29日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第17回『それでも外国に行きたい 演奏旅行も楽ではない』 小林武史 念願のソ連へ演奏旅行に出かけた。1989年の12月。モスクワでは、音楽院の中にあるラフマニノフ・ホールでリサイタルをやった。客の入りは約50人。その理由は、ホールの正面入り口が工事中で閉鎖されていて、せっかく来た客は皆帰 […]
1992年8月20日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第16回『曲の合い間に首席3人が着席 酒に酔い演奏会に遅刻』 小林武史 チェコで、大変親切な友人がいた。リヒャルト・ズボジールというコントラバス奏者で、1m90㎝のやせたのっぽだった。彼はふだんおとなしいのだが、酒好きで、アルコールが入ると人間が変わってしまって、とんでもない行動をとるので、 […]