1993年5月22日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第33回『砂漠を愛するクウェート人』 小林武史 もう十年近くも前の話になるが、海水パンツを持って遊びに来て下さい、という便りをもらって、クウェートに行った。クウェートでの仕事は、リサイタルが二度と、鈴木メソッドの話が、日本人向けと外国人向けを合わせて三回、ということだ […]
1993年4月18日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第32回『通訳とは とても難しいもの』小林武史 私が十六、七歳のころ、東京フィルハーモニーの末席に座って、エキストラ団員として使ってもらっていたことがあった。当時のコンサートマスターは夏目純一さんで、彼は夏目漱石の長男である。ドイツに長く留学していたので、ドイツ語が達 […]
1993年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第31回『“遅筆の天作作家・林 輝氏あだなはブラボーおじさん』小林武史 團伊玖磨先生の弟子で、作曲家の林 輝(はやし・てる)という人が、1992年度笹川賞創作曲コンクールで、女声合唱曲を書いて一位になった。二十年前に、團先生の別荘がある八丈島で林さんと知り合った。そのころ彼は、「源氏物語」を […]
1993年2月11日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第30回『“名弓”の材料原木 現在では伐採禁止に』小林武史 弓を選ぶのは、余程の経験がなければならない。弾力性や吸いつき具合を調べるのには、相当の鑑定力か、演奏技術がなければならない。音楽とは、演奏された音を聴いて、良しあしを判断するのである。彼の指揮法がどうとか、あの人の運弓法 […]
1993年2月6日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第29回『姓より名前が大切 家族で作られる楽器』小林武史 弓の元についている箱を、なぜFrog(カエル)というのか、知人に聞いてみたのだが、カエルの形をしているからだろう、というだけで、私にはカエルに見えないのだが、また世界中でカエルだというのだからそうなのだろう。それは普通、 […]
1993年1月28日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第28回『ヴァイオリンの名弓とは 音色、粘り、弾力に差』小林武史 先日CDを作るために、宮城県の中新田町にあるバッハ・ホールを借りて録音をした。楽器の調子が悪く大変苦労した。ヴァイオリンという楽器は、どんなに良い楽器であっても、弦をこする方の弓が、それに比例したものでないと良い音が出な […]
1993年1月14日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第27回『最も苦手な公開録音 ベートーヴェンの苦い思い出』 小林武史 公開録音というものがあり、これは私の最も苦手とする演奏会である。同時に演奏会が録音されて、ラジオに流されるのである。人間は、視覚を伴って音を聴くのと、耳だけで聴くのとでは大きな違いがあり、また演奏家も、お客さんの前で弾き […]
1993年1月7日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第26回『長年の愛用のヴァイオリンが入院 その後の訓製がまた大変』 小林武史 11月にCDを作る予定があって、楽器の調製をするために、楽器屋に行き検査してもらった。1700年代の物なので、あちこちいたんでいるところもあり、結局、半年近くも入院させることになってしまった。11月に入り、修理を急がせて […]
1992年12月5日 / 最終更新日時 : 2020年8月20日 M 神奈川新聞随筆欄 「鏡の中に映る自分」※全34回 平成4年1月~平成5年6月 第25回『食文化も同じ 目をつぶって味わい、聴く』 小林武史 食文化という言葉がある。文化とは何ぞや、といわれると困るのだが、私が各国を回ってみて、日常の食物と、そこの住民の性格が一致することを発見した。私にとって世界一バラエティーに富んでいる食事は中国料理であると思う。宴会などで […]
1992年12月1日 / 最終更新日時 : 2020年8月19日 M 朝日新聞(夕刊)掲載 ※平成4年12月 『ヘビでグルメ』 小林武史 日中国交正常化二十周年の今年は、人の交流が例年にもまして活発のようだ。バイオリニストの小林武史さん(61)も、中国音楽家協会の招きで、このほど北京、武漢、上海と演奏会、講習会を開きながら二週間の旅をしてきた。北京では、以 […]