2004年10月10日
Schloss Elmischwang:南ドイツ 


深い感情世界が巧みに表現された

エルミシュバング城の大ホールでの室内楽コンサート

エルミシュバング城大ホールでの最近のコンサートはすばらしい室内楽だった。
日本人の小林武史(バイオリン)とパヴォル・コヴァチ(ピアノ)は東京からブリュンを経て
リンツに至るルートで、すでにたくさんのコンサートを開き成功を収めている。

二人の音楽家は、ジョージ・フリードリッヒ・ヘンデルと同時代のヘンリー・エクレスの
g−Mollの4楽章からなるソナタではじめた。
彼らは、バロックの音色と本物の様式で聴衆に注意深く表現した。
 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのKV301 G−Durのソナタでは、
二つのアレグロにあるロココ風ダンスの軽さがまだいくらか欠けていた。
しかし、最後のジュール・マスネーのオペラ「タイス」からの「瞑想曲」では、
小林の楽器はこころのこもったメロディーを歌い始めた。
彼の芸術の全てを表現する機会を与えたのは、
パリの有名なバイオリン学校の巨匠であるフランツ・リース(1755−1846)の
「ラ・カプリチオーサ」であった。
 休憩後、演奏家は音楽によって東方への扉を開いた。
チェコの音楽を考えるとき、ベドジフ・スメタナとアントン・ドヴォルザークの二人の名前が思い浮かぶ。
この二人の巨匠は、故郷を思い出させる民族音楽のとぎれることの無いメロディの力、魅力あるリズム、
独特のハーモニーを全て表現した。
 最初の曲として、ソリストはドヴォルザークのすばらしいソナチネ作品100、G−Durを選んだ。
これは、このバイオリニストのために作曲されたように思われる。
Allegrorisoluto は力強く響き、Largbettoは細やかな旋律性に満ちて展開され、
Scherzo molto vivaceでは、その巧みな弓使いで作品に魔法ともいえる響きを与えた。
それは、ピアニストによって、申し分なくサポートされた。
フィナーレのアレグロは、感動を与え、美しいにぎやかな、民族舞踏の中でやさしい子守唄へと移行して終わった。
 それに対して、叙情的でメロディックな専敬すべきピーター・T・チャイコフスキーの
「カンツォネッタ」は心を落ち着かせるものだった。
 コンサートの最後に、彼らがスメタナのチクルス「わが祖国」からの1番と2番と出会つたことは幸運だった。
この音楽では故郷ボヘミアの美しい風景が表現され、
小林とコヴァチは深い感情の全てを表現することができた。
 拍手は鳴り止もうとせず、心優しい演奏家は二つの「飴玉」をくれた。



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